若手研究者、日日是好日。

大学の若手研究者。このブログは研究内容や勉強内容、日々の活動などの備忘録。

研究費獲得のための申請書作成、そして教訓

ついにこの時期が来てしまいましたね。科研費です。

そろそろ申請のネタを考えなければならないのですが、まだノーアイデア

この記事では、書き方で気を付けるべきことを書いていきます。私は申請書を読む側・評価する側になったことがないので、あくまで想像です。

申請書の書き方に関する参考書は多くあります。科研費に何度も採択されている研究者が書いてますので、そちらの方が有益のはずです。

 

 
まず大事なことは、相手を知ること。

そもそもどんな風に申請書が評価されるのかを知ることが大事です。これは科研費に関わらず、あらゆる申請書に該当すると思います。

 

科研費(若手)の評価ポイントは次の通り。

1. 研究成果の学術的重要性

  • 学術的に見て推進すべき重要な課題であるか
  • 研究課題の核心をなす学術的「問い」は明確であり、学術的独創性や創造性が認められるか
  • 研究計画の着想に至る経緯や関連する国内外の研究動向と研究の位置づけは明確であるか
  • 本研究課題の遂行によって、より広い学術、科学技術あるいは社会などへの波及効果が期待できるか

2. 研究方法の妥当性

  • 研究目的を達成するため、研究方法等は具体的かつ適切であるか、また、研究経費と整合性がとれたものとなっているか
  • 研究目的を達成するための準備状況は適切であるか

3. 研究遂行能力及び研究環境の適切性

  • これまでの研究活動等から見て、研究計画に対する十分な研究遂行能力を有しているか
  • 研究計画の遂行に必要な研究施設・設備・研究資料等、研究環境は整っているか

 

全体的な感想

評価者は、面白い研究という視点だけではなく、申請内容がきちんと達成されるか、という現実的な視点で評価するはずです。

そのため、いくら夢物語を書いたとしても採択されないです。「君、そんな研究ができるの?」ってことになりますので。

研究の面白さを書きつつ、現実的な実行可能性も書くとなると、「0を1にする研究」よりは、「1を10にする研究」の方が若手研究には合致していると思います。

「0を1にする研究」は、また違うところに申請しましょう。

 

「1を10にする研究」ということは、

  • まず、1は何か?
  • 10は何か?
  • 1を10にする手順は何か?

ということを整理することが必要です。

 

まず、1は何か?

これは、これまでの自分の研究で何をして、何を達成してきたか、を具体的且つ明確に書くことです。

「具体的且つ明確に」とは、実験系研究者であれば、どんな物質をどんな実験でどんな結果を得たのか、数値があれば数値を書く。また、証明する業績があれば記しますし、他の研究者との違いがあれば、それも書く。

 

10は何か?

これまでの研究結果より、どんな光景が見え、どんな課題が残されたのか。学術的な新しさも必要ですが、既存の研究結果が既に新しいので、その延長は勿論新しくなり、そこまで強調して学術的新しさを書く必要はないのかなと思います。

むしろ、この新しい挑戦が、他の学術分野に波及するのか、あるいは社会的課題を解決するのか、を書いた方がウケが良さそうです。

 

1を10にする手順は何か?

上の2つが書けたとしても、ここが弱ければ採択には至りません。

ここのポイントは、

  • 手順をストーリーとして描けるか
  • 専門外の評価者にも理解できるか

だと思います。

 

1つ目は、研究の方法がブツブツ細切れで何と何が関係しているのかわからない書き方だと、何をどうやって研究するのかさっぱりわかりませんね。

できれば、フローチャートを準備して、どんな手順で何をするのか、何と何は関係しているのか整理することが大事です。特に、最終的なアウトプットを明確にし、そのアウトプットを取得するために、合理的な計画を設計することが大事です。

若手研究であれば、大きな風呂敷を広げずに、かといって小さすぎずの学術的新規性を攻めることが求められます。何故、申請者がその申請課題を達成できるのかを客観的且つ合理的な理由で記述する必要があります。予備的な実験を進めていること、準備を済ませていること、などを書くことが大事です。

って、私はここが弱いのですが・・・。

 

2つ目は、評価者は必ずしも申請者と同じ専門分野ではない、ということです。例えば、4名の評価者がいて、同じ専門分野の評価者は良くて2名、通常1名だと思います。

つまり、その2名に向けて申請書を書いても、残り2名がバツを付ければ不採択ということです。

したがって、よく言われる通りですが、なるべく専門的な言葉を使わないことが大事ですし、その分野で常識なことであれば、「既に有効性が検証されている〜」のような枕詞が大事です。

 

そしてなんと、若手審査の場合には二段階評価になり、一段階目に評価が高ければ採択、低ければ不採択、真ん中のレベルは二段階評価へ、という流れらしいです。つまり、少なくとも一段階評価の際に評価点が低いことは避けないということです。そうなると、4名の審査員全員に対して、ウケが悪い申請書は書けないということです。

風の噂では、評価者は1つの申請を5分〜10分程度でざっと見るそうなので・・・。つまり、研究概要の分かりやすさ、申請書の読みやすさに気を付けることが求められます。まあ、それができれば困らないよって話ですが。

 

申請書を書くことは大変な労力となりますが、自分の研究の棚卸しと新しい研究へ準備という意味ではとても大切なことです。苦しい時間となりますが、どうにか申請書を書き切って、次こそは採択されたいですね。

では。