若手研究者、日日是好日。

大学の若手研究者。このブログは研究内容や勉強内容、日々の活動などの備忘録。

企業研究者のための人生設計ガイド その2

本日も、前回に続いて「企業研究者のための人生設計ガイド」の備忘録で、第2部から最後までを掲載します。

 

■前回の記事

rlab.hatenablog.com


第2部は、鎌谷氏の海外での生活・業務の紆余曲折が具体的に書いてあり、私が拙い日本語で概要を書くよりも、実際に本書を手にとって読んだ方がその内容の面白さ・リアルさが伝わると思います。ですので、是非読んで欲しいです。

 

鎌谷氏は海外で生活を送るわけですから、当然英語が必要になります。そんな鎌谷氏は、私と違い、英語が得意という自負を持って海外へ行ったのですが、ネイティブスピーカーのマシンガントークとディスカッションに対応できず、当初は一言も英語を発することができなかったそうです。


そんな状態の鎌谷氏は、一念発起して英語を勉強し直し、最終的に英語を使えるようになるわけです。鎌谷氏はどのように英語を勉強したのか?

アメリカ映画を「ディクテーション」するという手法である。

ディクテーションとは、テレビやラジオなどの音源を文章に書き下す作業のことを言います。私もやったことはありますが、この作業は本当に地味です。苦行です。1分の音源を文字起こしするだけで、数十分もかかります。次第にやる気がなくなります。まさに拷問です。


しかし、鎌谷氏はディクテーションの重要性を次のように説きます。

この勉強ができるかどうかがあなたの語彙力を決めると言っても過言ではない。逆に言えば、ディクテーションによる勉強を拒否する人に英語を含めた外国語をマスターすることは絶対にないと言い切れる。それくらい効果てきめんな勉強法である。

はい、わかりました。私も研究者の端くれ。英語を使う機会はたくさんあります。
ディクテーション、やります!


鎌谷氏は、会社の事情で転職を余儀なくされました。このご時世、同じ会社でずっと働き続けることは難しいことかもしれません。自分から違う会社へ行きたくなる場合もありますし、会社の倒産や工場の閉鎖も考えられます。

こんな時代に研究者はどのような姿勢を保つべきか、鎌谷氏は元上司の言葉を引用して、次のように述べています。

It is not important that you are employed. It is more important that you are employable.(君が今現在雇われていることが大事なのではない。君が誰かから雇ってもらえるような人であり続けることの方が大事なんだ。)

なるほど。つまり、柔軟さがが必要なわけですか。特に、私のような若手研究者は、自分の専門分野を高めるだけではなく、少し別の分野に興味を持つことが大事だと思います。そうすることで自身の研究の幅が広がるわけですし、就職活動にも効果を発揮します。ニッチな研究分野では、なかなか公募が無く、公募が出たとしてもそこに何人もの強者が応募してきます。そこで、元の専門分野だけではなく、他の分野の知見を有していれば、他分野への公募へも応募することができますし、専門分野でも自分のオリジナリティを前面に出せます。

 

他にも、いくつもの大学・民間研究機関を渡り歩いた鎌谷氏は、研究者として能力を延ばす考え方として担当教授の言葉を紹介しています。

他の国で研磨を積むことが研究者しての器をより大きくする

海外研究機関で働かないと昇進にも響く、というような噂を聞いたことがありますが、自国、あるいは自分の大学を離れることは、他の文化や研究のレベル感、他者とのコミュニケーション方法を学ぶことにつながるはずです。

私も短期間の留学(合計1ヶ月程度なので、留学と言えるかは怪しいですが・・・)をしたことがありますが、チャンスがあれば数年の研究留学にトライしたいです。そうすることで、研究は勿論、自分の人生が豊かなものになる気がします。

 

以上です。
第3部ではお二人の企業研究者とのインタビュー記事が掲載されています。冒頭で述べたように、私が書くよりも読んだ方が面白いので、是非本書を手に取って読んで欲しいですね。

 

それでは。