若手研究者、日日是好日。

大学の若手研究者。このブログは研究内容や勉強内容、日々の活動などの備忘録。

研究費獲得のための申請書作成、そして教訓

ついにこの時期が来てしまいましたね。科研費です。

そろそろ申請のネタを考えなければならないのですが、まだノーアイデア

この記事では、書き方で気を付けるべきことを書いていきます。私は申請書を読む側・評価する側になったことがないので、あくまで想像です。

申請書の書き方に関する参考書は多くあります。科研費に何度も採択されている研究者が書いてますので、そちらの方が有益のはずです。

 

 
まず大事なことは、相手を知ること。

そもそもどんな風に申請書が評価されるのかを知ることが大事です。これは科研費に関わらず、あらゆる申請書に該当すると思います。

 

科研費(若手)の評価ポイントは次の通り。

1. 研究成果の学術的重要性

  • 学術的に見て推進すべき重要な課題であるか
  • 研究課題の核心をなす学術的「問い」は明確であり、学術的独創性や創造性が認められるか
  • 研究計画の着想に至る経緯や関連する国内外の研究動向と研究の位置づけは明確であるか
  • 本研究課題の遂行によって、より広い学術、科学技術あるいは社会などへの波及効果が期待できるか

2. 研究方法の妥当性

  • 研究目的を達成するため、研究方法等は具体的かつ適切であるか、また、研究経費と整合性がとれたものとなっているか
  • 研究目的を達成するための準備状況は適切であるか

3. 研究遂行能力及び研究環境の適切性

  • これまでの研究活動等から見て、研究計画に対する十分な研究遂行能力を有しているか
  • 研究計画の遂行に必要な研究施設・設備・研究資料等、研究環境は整っているか

 

全体的な感想

評価者は、面白い研究という視点だけではなく、申請内容がきちんと達成されるか、という現実的な視点で評価するはずです。

そのため、いくら夢物語を書いたとしても採択されないです。「君、そんな研究ができるの?」ってことになりますので。

研究の面白さを書きつつ、現実的な実行可能性も書くとなると、「0を1にする研究」よりは、「1を10にする研究」の方が若手研究には合致していると思います。

「0を1にする研究」は、また違うところに申請しましょう。

 

「1を10にする研究」ということは、

  • まず、1は何か?
  • 10は何か?
  • 1を10にする手順は何か?

ということを整理することが必要です。

 

まず、1は何か?

これは、これまでの自分の研究で何をして、何を達成してきたか、を具体的且つ明確に書くことです。

「具体的且つ明確に」とは、実験系研究者であれば、どんな物質をどんな実験でどんな結果を得たのか、数値があれば数値を書く。また、証明する業績があれば記しますし、他の研究者との違いがあれば、それも書く。

 

10は何か?

これまでの研究結果より、どんな光景が見え、どんな課題が残されたのか。学術的な新しさも必要ですが、既存の研究結果が既に新しいので、その延長は勿論新しくなり、そこまで強調して学術的新しさを書く必要はないのかなと思います。

むしろ、この新しい挑戦が、他の学術分野に波及するのか、あるいは社会的課題を解決するのか、を書いた方がウケが良さそうです。

 

1を10にする手順は何か?

上の2つが書けたとしても、ここが弱ければ採択には至りません。

ここのポイントは、

  • 手順をストーリーとして描けるか
  • 専門外の評価者にも理解できるか

だと思います。

 

1つ目は、研究の方法がブツブツ細切れで何と何が関係しているのかわからない書き方だと、何をどうやって研究するのかさっぱりわかりませんね。

できれば、フローチャートを準備して、どんな手順で何をするのか、何と何は関係しているのか整理することが大事です。特に、最終的なアウトプットを明確にし、そのアウトプットを取得するために、合理的な計画を設計することが大事です。

若手研究であれば、大きな風呂敷を広げずに、かといって小さすぎずの学術的新規性を攻めることが求められます。何故、申請者がその申請課題を達成できるのかを客観的且つ合理的な理由で記述する必要があります。予備的な実験を進めていること、準備を済ませていること、などを書くことが大事です。

って、私はここが弱いのですが・・・。

 

2つ目は、評価者は必ずしも申請者と同じ専門分野ではない、ということです。例えば、4名の評価者がいて、同じ専門分野の評価者は良くて2名、通常1名だと思います。

つまり、その2名に向けて申請書を書いても、残り2名がバツを付ければ不採択ということです。

したがって、よく言われる通りですが、なるべく専門的な言葉を使わないことが大事ですし、その分野で常識なことであれば、「既に有効性が検証されている〜」のような枕詞が大事です。

 

そしてなんと、若手審査の場合には二段階評価になり、一段階目に評価が高ければ採択、低ければ不採択、真ん中のレベルは二段階評価へ、という流れらしいです。つまり、少なくとも一段階評価の際に評価点が低いことは避けないということです。そうなると、4名の審査員全員に対して、ウケが悪い申請書は書けないということです。

風の噂では、評価者は1つの申請を5分〜10分程度でざっと見るそうなので・・・。つまり、研究概要の分かりやすさ、申請書の読みやすさに気を付けることが求められます。まあ、それができれば困らないよって話ですが。

 

申請書を書くことは大変な労力となりますが、自分の研究の棚卸しと新しい研究へ準備という意味ではとても大切なことです。苦しい時間となりますが、どうにか申請書を書き切って、次こそは採択されたいですね。

では。

Pythonも始めてみました。

QGISフリーソフトでとても便利。また、私が研究で使っているソフトもとても便利。

それらのソフトウェアを自分なりにもっと便利にしたい!と思った時に出てくる問題は、「どうやって改良するねん!?」ということです。

最近のソフトウェアはPythonでできていることが多く、自分でちょっとした工夫をしたい時には、Pythonを使えば良いらしいです。

じゃあ、Pythonを使えるようにしましょう、というのがPythonを始めたモチベーションです。

そんな、具体的な目標に加えて、Pythonを使えるようになると、作業を自動化できるようになるので、特に、Webスクレイピングに興味があるので、それができるように少しずつ勉強使用と思います。

 

ということで、これからPythonも勉強していきたいと思います。
ちょっと、勉強することが多すぎるかな・・・。

 

今回勉強するのは、この本。

Pythonスタートブック [増補改訂版]

Pythonスタートブック [増補改訂版]

  • 作者:辻 真吾
  • 発売日: 2018/04/12
  • メディア: 大型本
 

 

実は、プログラミング言語をまともに勉強したことがないので、小学生レベルから始められる本が欲しかったのです。

全部で11章ということで、少しずつ続けていけば1ヶ月で終わるかな・・・。

 

まずは第1章。

Pythonとは何か、ターミナルの触り方、などなど簡単なことが書いてあります。ターミナルでPythonを始める方法も書いてあります。

今後は、ターミナルでPythonを使い続けることは少なそうですが、まずは練習練習。ターミナルを開いて、"python"と打つとpythonが使えるようになります。結構簡単。

そもそものmacPythonをインストールする方法は付録にまとめてありました。

 

pythonが使えるようになったので、

 

>>> 2+4

6

などなどして遊んでみました。つまり、電卓ですね。数字ではなく、文字を打つ方法は色々とあるどうですが、

>>>print(“a")

a

 で日本語も英語も表示してくれます。

 

モジュールの紹介もありました。Rで言うとパッケージみたいなものかな。
ここでは、randomを使ったサイコロの数字抽出が例としてあります。

>>> Import random

でモジュールの準備が完了です。

 

Pythonスクリプトファイルは、.pyという拡張子で保存するみたいです。

 

Pythonソースコードを書くためには、テキストエディタがあると便利です。

私はなんとなくAtomにしてみました。

atom.io

プログラムを練習する前に、Atomにパッケージをインストール。

atom-ruunerは、Atom内でプログラムを走らせてくれる便利なパッケージ。

”Ctrl + R + Enter”で実行してくれます!

 

Atomでランダムプログラムを作ってみましょう。

import random

data = [“A”, “B", "C"]

data_choice = random.choice(data)

print(data_choice)

うまく行けば、A、B、Cのどれかを表示してくれるのですが・・・。

ファイル名を「random.py」として、Atomで実行すると次のエラー発生。

AttributeError: 'module' object has no attribute 'choice'

全然、意味がわからず30分ぐらい無駄にしましたが、ググったところ次の記述が多く散見されました。

スクリプト名がrandom.pyなのでは?モジュール(random)とスクリプトを同じ名前にしないでください。

'module'オブジェクトには属性 'choice'がありません - random.choiceを使用しようとしています

python - 'module' object has no attribute 'choice' - trying to use random.choice - Stack Overflow


って、まさにこれ・・・。

名前を変えたところ、すぐにエラー解消!初めからググればよかった・・・。こんな簡単なことで30分かかるとは前途多難ですね。

 

でも、これで1章が終了しました。

日々少しずつ学んでいきます。

 

では。

 

QGISを始めます。

世の中に本当に便利なフリーソフトウェアがあります。

その1つがQGISです。

qgis.org

ArcGISは有名な有償GISソフトウェアですが、それに匹敵するぐらい機能がある素晴らしいソフトウェアがQGISです。

お金があればArcGISが欲しいですが、そんなわがままは言えません。フリーソフトウェアは、家でも気軽に使えますし、若手研究者はいつ異動するかも分からず、高価なソフトウェアが異動先にあるとは思ませんので、今のうちからフリーソフトを使い倒す能力を身につけたい。また最近、良いアイデアを思いつき、これが出来ればベンチャー企業でも立ち上げるか!!というモチベーションになっているので、QGISを学びたいというのが理由です。

そんな時に見つけたのが、この本です。

 

オープンデータ、防災、環境、統計とまさに私が興味ある分野が書いてあるみたいです。なので、まずはこの本を使って、QGISを学んでいくことにしました!

 

他に、こんな素晴らしいサイトや情報もありました。

QGIS 3.10 の文書 — QGIS Documentation ドキュメント

QGISビギナーズマニュアル(3系) · GIS実習オープン教材

 

 

国土交通省からもQGIS 3.10のマニュアルが出ていました。

https://nlftp.mlit.go.jp/ksj/other/QGIS_manual.pdf

 

いやー、本当に便利な世の中です。

 

この本は、Part 1からPart 5までの全16章構成になってますので、Part 1から地道に進めていくことにします。


Part 1は、

  • 第1章:地理空間情報の基本
  • 第2章:オープンデータの基本
  • 第3章:今、なぜ注目されているか

ということで、知識の習得がメインのページになっていました。QGISに使い方の前に、まずはGISの前提を学びましょうということです。

そのような前提情報は、予め知っておくべき内容ですし、後々に響いてくるので、さっと頭に入れておきましょう。

 

まず第1章。

測地系」の考え方が難しい。

「緯度経度」と「投影座標」があることはわかりましたが、より具体的な話になるとさっぱり。これはQGISを触りながら勉強していくことになるかな。

また、住所を緯度経度または投影座標に変換する「ジオコーディング」について、有効なサイト情報が紹介されてました。そのうち、使うことになるでしょう。

 

次に第2章。

オープンデータについて、「オープン」は手軽に無料でデータを所得できるという意味ですが、使う部分にはライセンスの確認が必要とのこと。

個人的、あるいは学術的な利用はあまり問題にならないと思いますが、商用利用に関しては特に注意が必要とのことです。

また、国や地方自治体からオープンデータが公開されている、なかには民間主導で作成されたデータもあるので、これらをうまく活用したいですね。

 

最後に第3章。

オープンソースソフトウェアの紹介がありました。私が勉強中のRも空間統計処理ができるそうです。

 

本日は、ただの読書で終わってしまいましたが、RとQGISを組み合わせて研究に活用できる日を妄想しながら、せっせと勉強していきたいと思います。

 

では。

考えすぎないことを考えてみる。

久しぶりの更新になります。仕事が忙しいとなかなかブログを更新する時間(=インプット&アウトプット)が割けないというのは言い訳で、楽しくない仕事をやり続けた結果、精神的な余裕が無くなっていました。単純作業をひたすらやり続けるのって体力以上に精神に負荷が高いです。そんな仕事をずっとできる人は逆に凄いですね・・・。

 

研究することは考えること。そんな風に思ってます。研究予算も人員も場所も何もないという環境下で他人と差を出すためには頭を使うしかないですよね。
でも、考えて考えて考え続けていると、大体いつも前に進まず、時間だけがすぎていくんです。考えることは大事ですが、それが目的ではなくて、何か成果(論文や特許等)を世に出すことが目的なので、考えることはそこそこにして成果を出すことをしたい。そんなわけですが、そこの線引きが難しいです。
そんなとき、次の書籍を見つけました。

 

 

研究内容をベースにした書籍って最近流行っているように思いますが、このような自己啓発的な本は話半分でさーっと読んで、「あっ、これ良いな」というところをピックアップしているようにしてます。
そんな個人的なピックアップを今回は整理していきます。

 

 情報が多いほど、時間をかけるほど、人は合理的な判断ができなくなる。

これはとても共感できます。何か新しいことを始める時に、調べに調べまわっても結局良い答えに辿りつかないことがあります。例えば、新しい分野の論文を読み始めた時、初めはどんどん面白そうなアイデアが出てくるんですけど、論文を読めば読むほど「この分野ってやること残ってないんじゃない?」と感じることが多々ありました。

なので、自分の中で6割ぐらい調べたなと思ったら、一旦調べたことをまとめてみて、誰かに話してみる。そうすると課題発見と思考整理ができます。
確か、安宅和人さんの著書にも同じことが書いていた気がします。

 


【19分で解説】イシューからはじめよ丨仕事が100分の1になる思考法

 

 

「手をつけない限りやる気など起きない、集中などできない」

やりたくないけどやらないといけないこと、やりたいことだけどなんだかやる気ができないことってありますよね。そんな時「やる気スイッチがあれば・・・」と思いながらネットサーフィンをして、30分ぐらい立った後にそろそろやるか、となることがたくさんあります。

でも、結局やり始めたら集中して2時間ぐらいダーっと進むんですよね。なので、自分のモチベーションに関係なく、やる時間を設定して作業として淡々とやることを意識しています。この久しぶりのブログも、時間を設定して質はともなくとりあえずアウトプットする、ということで時間を割いて淡々と書き続けています。

翌週のタスクをカレンダーに入れ込んで、この時間だけは何があっても確保する!ってことで自分の時間を確保する。そうすると、本当に大事なことに時間を使えるようになりますし、なんとなくの時間を浪費が少なくなりますね。

 

決断において「どう決めるか」ではなく、「そもそも決められるかどうか」の方が重要

決断してしまえば、あとはどうにかするしかないんです。仕事を辞めようといつまでも悩んで時間を浪費するよりも、仕事を辞めるかどうかをコインの表裏で決めて、決まったことを考える方がよっぽど時間の価値があります。いつまでもくよくよと悩んでいる時間は本当にもったいないです。いくら考えても全然前進しないのであれば、エイヤ!と決めてしまって、その次を考える。

そんな私はドクター進学をコイントスで決めましたが、その決断に対して後悔したことはありません。

 

最初の4〜6秒をやり過ごせば、感情に流されずに冷静に物事を見られる

イラッとすることが日常であると思います。そのイラッとした感情をそのまま言葉に出すことが大事なこともありますが、多くの場合は胸に秘めることにメリットがあると思います。

そんな時には5秒ぐらい我慢。5秒経てば、相手が正しいのか、自分が正しいのか、相手にするだけ無駄なのか、はたまた相手は昨日何かあったのかな、などなど色々な思考を冷静にできるようになるらしいです。

私は一回トイレに行って帰ってくるぐらいの時間が欲しいので、今度イラッとしたらとりあえずトイレに行こうと思います。

 

優秀な人ほど自分の好みに似た人を素早く見つけ、その意見を参考にしてさっと決断する

直接的に好みの人に会えることがない場合は、真似しても良いですよね。優秀な人って本当に優秀ですから、真似できることは真似して、真似したくないことに専念して時間を有効に使いたいです。なので、世の中に出ているソフトウェアをバンバン使い倒して、そんなソフトウェアでもできないことに時間を割きたいと思います。

 

 長期間過去の思い出に浸り、かつそれが頻繁になってくるほど脳が老化しやすくなる

結局、人は未来に向かって生きているわけですから、過去の実績や経験に浸っても良いことなんてないですよね。こんなに時代の流れが早い中で、過去の経験だけで未来に対応できたら、今頃親世代の方々はみなさん億万長者になってますよ。

だからこそ、未来に向かった自己投資を続けることが大事なんです。研究も数年前の実績で食べていけるのは向こう数年だけで、新しい技術や知見を取り入れていかないとすぐに過去の人になってしまいます。

 

態度をポジティブにすることは、「思考から行動をポジティブにしていく」のではありません。行動をポジティブにすることで、結果的に思考がポジティブになるのです」

似たようなことをTestosteroneさんも言ってた気がします。結局は、筋トレすれば何もかもがうまくいくんですよ。

そんな私は定期的に筋トレに行くようになったのですが、よく食べるようになったせいか太ってしまったように感じています・・・体が引き締まるためのモラトリアムですかね。

 

よく考えるためには、よく休むことが重要です

なんだか当たり前のことですが、なかなか難しいですよね。1日12時間ぐらいPCと睨めっこして、その他の空き時間もスマホと睨めっこで、いつ目を休めてるんだよって話です。ちょっと気を休めるために森林に行ってのんびりすることで、逆に生産性が高まるそうです。

ということで、時々は煩い都会から離れて、のんびり温泉が至福の時です。

 

 

結局は、「考えたらさっさとやれ。思考が停止したら温泉に行け」ってことでした。

 

こんなにオンライン化・デジタル化が進んだのですから、基本的には田舎暮らしで、週に1回ぐらい会議や打ち合わせで都会の職場で仕事っていうワーク・ライフスタイルも近づいてくると思うんですけどね。特に、非実験系の研究者って実験装置が不要で、PCとWifiがあれば何とかなるので、すぐに実現できると思うのですが、多分制度的に難しいんだろうな・・・。

 

以上です。

 

話は変わりますが、最近はPythonやRなどなど非常に有用な言語やソフトウェアが誰でも使えるようになりましたし、その能力を身に付けることで自分で好きなことができるような時代になりました。

そんなことで、テキストマイニングや統計解析などなどPythonやRでできるように、勉強の成果をこれからこのブログに少しずつまとめていきたいと思います。

 

それでは。

 

研究費獲得のための面接審査、そして教訓

 この記事では、これまで私が経験した研究面接の教訓を整理します。あくまで個人的な見解です。


 申請書の書き方については、いくつか参考書があるのですが、面接に関してはめっきり無いんですよね。一般的な就職面接の内容も参考になるかもしれませんが、やはり研究に特化した面接への心得を知りたいです。

 

申請書の書き方

 

 はっきり言って、面接が苦手な私にとっては面接がない方が良いのですが、そうも言ってられないのがこの業界です。
 そして、面接審査は難しい。

 

 外部資金を獲得するためには、概ね次の2つの段階があります。

  • 研究申請書を提出する。→ 採択・不採択
  • 申請書の通過後、研究面接を実施する。 →採択・不採択

 申請書だけなのか、面接もあるのかは、外部資金によって異なります。科研費の場合、私のような若手研究者は申請書のみの場合が多いと思われます。また、私の分野に研究者が少ないせいか、結構高い割合で申請書は通過し、面接審査になることが多いです。

 私はこれまで合計6回の面接を経験してきました。が、いつまで経っても上手くなりません。

  • 学生の時に3回
  • 博士取得後に3回

 

 面接官の人数は様々なのですが(昔のこともあり、記憶がかなり曖昧なのです)、

  • A:5名程度+事務局数名
  • B:面接官15名+事務局10名
  • C:面接官5名+事務局数名
  • D:面接官10名+事務局10名
  • E:面接官20名+事務局15名
  • F:面接官5名+事務局5名

となっており、面接官の人数はバラバラでした。さすがに30名近くの方々が部屋にいると圧迫感が凄いのですが、最近は若干慣れてきましたね。また、面接官の人数は、当然、面接前にはわからないので、初めから30人ぐらいいるもんだと思って、面接に取り組むようになりました。
 多分ですが、面接が苦手な人にとって、予め面接部屋の雰囲気を想像しておくのって大事です。終始和やかなのか、ピリピリしているのか、知っている人が面接官にいるのか・いないのか。面接発表の立ち位置はどこなのか。ポインターはあるのか・無いのか等々です。


 これは私の認識ですが、面接官が少ない場合には、全員が平等に審査の権限を持っていて、一方で面接官が多いと、その内の数名が審査の権限を持っていると思っています。そのため、何故こんなに人が多いのか!?と疑問に思うことがあるかと思いますが、多分、実際に審査する人が予め決まっており、その審査員が質問をすることになっていると思われます。なので、人数だけを見ると、結構圧迫感はありますが、質疑応答の人数と考えると、どの面接もあまり変わりません。

 

 ここからは、6回の面接を受けたきた教訓を7つ述べます。あくまで個人的な見解なので、実際には間違っていることもあります。そもそも、私は面接官になったこともないので、あくまで私の推測ということです。

 

1.面接時間は必ず守る。
 学生だった頃の面接時、少し面接時間をオーバーしただけで、物凄く注意されました。面接時間のオーバーは、練習不足・面接に対する思い入れが無いという悪い印象を与えかねないので、それ以後、面接時間にぴったりとなるように練習しました。

 

2.面接官は時々上から目線で質問してくる。
 面接官と申請者は対等な立場であるはずですが、理解に苦しむ面接官も時々います。そんな面接官に出会った場合には、私はいつもアンラッキーだったなと思います。

 

3.誰が面接官かを予め考える。
 私の場合、完全に同じ分野の人が面接官になることは極めて稀です。どこかで見たことあるな、名前を見たことがあるな、程度の人は面接官にいますが、面接官は私のことを知らないことが多いです。
 また、ニッチな研究分野では、面接官の内、1名が申請内容を理解していれば良い方で、面接官が申請内容を完璧に理解していることはほぼ無いです。あくまで面接であり、学会発表では無いことを理解しておく必要があります。助成金の募集要項に、専門家以外の人にもわかるように申請内容を書いてください、とありますが、それは発表にも同じことが言えます。

 

4.面接官は、申請書を読んでいない、発表を聞いていないと考える。
 質疑応答の時間になると、明らかに申請書を読んでいない人・発表を聞いていない人がいることがわかる時があります。例えば、「私はカレーを作ります」と申請書に書き、そして「カレーを作ります」と発表しているにも関わらず、面接官からは「何故、カレーは作らないのですか?」という質問が来ることがあります。何回かこの状況に遭遇し、その度に頭の中がフリーズしてしまいました。
 確かに、面接官は教授や准教授、国立の研究所の研究者がなることが多く、多忙の中、面接官になってくださり、時間を割いて面接会場にいらっしゃいます。また、普通、面接は1日に詰め込むことが多く、10人や20人の面接を1日で実施することもあり、夕方に近づくと疲れが出てくることも予想されます。面接官も人間ですからね。しょうがないと思うこともあります(ただ、面接中に寝られた時には流石に一言言いたくなりましたが)。
 申請書を読んでいない、発表を聞いてない場合には、もう1度繰り返して説明するしかなりません。「少しわかりにくかったかもしれませんが、ここでは〇〇ということでカレーを作ります。」と丁寧に説明するしかありませんね。

 

5.面接官がバイアスを持っている場合
 面接官が申請内容をなんとなく把握している、あるいは単語を知っている場合には、面接官の頭の中に「これはこうでしょ」という思い込みがある場合があります。
 「カレーを作るって言ったけど、何カレーなの?ポークでしょ?」という感じです。実際にポークカレーならラッキーですが、大抵違うカレーを作ることになるので、そこで申請者と面接官でギャップが発生します。そのギャップが発生したら、面接時間の中での対処は難しいです。質疑応答時間は短いですからね。
 申請者としては、「申請書には「キーマカレー」と書いて、面接審査に来たのに、このタイミングでポークカレーかよ!」という気持ちになりますね。面接が苦手な人にとって、面接の準備は本当に大変なので、それだったら書類審査で落としてくれよ、という話です。今のところ、なんらかの打開策は見つかっていません。「ポークカレーもいいなと思ったんですが、〇〇と言う理由でキーマカレーにしました」ぐらいでしょうか。


6.研究のオリジナリティは絶対に明文化するか
 申請書に書いてあるので、面接官は必ず研究のオリジナリティを読んでおり、頭に入っているはずですが、上述した通り、申請書を読んでいない、あるいは記憶に無い面接官もいるはずです。そのため、申請内容の面白さ、独創性、社会的要請を簡潔に記載することが重要です。
 ここでポイントなのが、面接官にとって申請内容が採択されるだけの価値があると思わせることです。申請者が面白いからと言って、面接官が面白いと思うとは限らないですよね。特に、社会的要請は、助成金の目的に合致していることが大事です。真夏のコンビニでおでんを売れないように(意外に需要があるかも)、助成金が何を求めているかを予め明確にする必要があります。申請内容を採択することで、何が解決するのか、何が達成されるのか、その結果どんな波及効果があるのか等々を整理しておきましょう。


7.面接官が研究方針を持っている場合
 面接官も研究者ですので、こんな研究をしてほしいなという願いがあるはずです。願いを心の中に持っているだけなら問題ないのですが、その願いを申請者の研究に適用させようとすることがあります。
 例えば、申請者はじゃがいも、玉ねぎ、人参、牛肉をスーパーで購入し、カレーライスを作ろうと思っています。ところが、面接官はクリームシチューが食べたいんです。面接官は、間髪入れず、このように申請者へ質問します。「なぜ、クリームシチューじゃないのですか?その具材だとクリームシチューの方が美味しいでしょ。是非、クリームシチューを作って欲しいのですが。」
 申請者の頭の中は、「いや、待ってくれ、申請書にカレーを作ると書いたよね。そして、今の発表でもカレーを作ると・・・なぜ、面接官はクリームシチューとこの場で言うのか・・・???」
 勿論、申請者はカレーが望ましい理由をいくつも答えますが、質疑応答時間は限られています。ましてや、カレーかシチューかは、個人の興味の問題であり、その点を評価対象にされた時点で、採択の希望を薄いです。この場合は、申請者としてはどうすることもなく、只々そのような面接官に遭遇しないことを祈るのみです。運が悪かったんです。

 

 以上です。
 途中で書いたように、このような面接官がいることを想定しながら面接に取り組むと、心の余裕ができて、ほんの少しだけ採択が近づくかもしれません。私のような平凡な研究者は、準備と想定、そして運で生き残っていくしかありませんかね。口下手で面接が苦手だからこそ、臨機応変な対応には期待できず、面接の前で決着をつけようという作戦です。

 

いつかは申請書についても整理することにします。

 

それでは。

テキストマイニングが上手くなりたい。

新型コロナのためジムで筋トレもできず、日頃できない勉強を進めています。

今回、整理する本は「やってみようテキストマイニング 自由回答アンケートの分析に挑戦!」です。 

やってみよう テキストマイニング ―自由回答アンケートの分析に挑戦! ―

やってみよう テキストマイニング ―自由回答アンケートの分析に挑戦! ―

  • 作者:牛澤 賢二
  • 発売日: 2018/08/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 
以前、投稿した記事と同様にKH coderを用いたテキストマイニングに細々と取り組んでします。そのうち、Rを用いたテキストマイニングにもチャレンジしたいと思っているのですが、プログラミングの経験がないため、まずはKH coderに取り組んでいます。

 

以前の記事

rlab.hatenablog.com

ここでは、以前紹介した書籍には無かった「コーディング」に特化して記事をまとめました。

テキストマイニングには、

  • 探索的な分析
  • 仮説検証的な分析

の2つの分析目的があります。

 

 仮説検証的な分析は、探索的な分析によって得られた結果に基づき、単語を共通のキーワードで整理し、キーワードが文章のテーマとして合致するのかを検証します。

 共通のキーワードとしての整理とは、例えば、LINEやFacebook, twitter, instagramをまとめてSNSと言うことになります。本書籍では、高齢者向けサービスを題材に、家事、食事、掃除、買い物、洗濯という単語を日常生活支援というワードで整理しています。

 このように整理することで、頻度が高くない単語を分析対象として抽出することができますし、キーワードを複数作成できれば、分析対象の全体像を整理することもできます。

 

 KH Coderでは、キーワード(本書ではテーマ)と抽出語を組み合わせて新しいコードを定義し、それをコーディングルール・ファイルとして、テキスト形式のファイルを作成します。
 コーディングルール・ファイルは、アスタリスクに付随するキーワードと条件式(算術演算子と論理演算子)により構成されます。

 ファイルは、テキストで作成して、最終的にはCSVファイルで保存することが良いそうです。

 コーディングファイルをKH Coderに実装する方法は実に簡単です。「ツール」>「コーディング」を選択し、分析したい項目(単純集計や対応分析など)において、ファイルを選択するだけです。

 まずは、単純集計で、コーディングルールが的確に文書を表現しているかを把握します。単純集計では、キーワードが文章全体のどれぐらいを占めているかを表示してくれます。そして、「コード無し」の割合が高い場合には、正確にキーワードを設定できていない可能性があるため、再度コーディングルールを見直す必要があります。

 この見直しには、「ツール」>「文章」>「文章検索」>「ファイル設定」>「Search Entry」>「#コード無し」と検索することで、コード無しに該当する文章のみ表示され、既存のキーワードに包含するか、新しいキーワードを設定するか、などを検討することができます。

 単純集計の結果が適切な場合には、クロス集計や対応分析、共起ネットワーク等で、仮説コードと外部変数の関係を探ることができます。

 このように、文章全体を色々な角度から分析することで、総合的な視点に基づき文章を解釈することができるようになります。

 

 最後に、分析プロセスで作成したファイルを1つのフォルダに収めておくのがオススメだそうです。その結果、いつでも元データに戻って分析を再現することができるようになります。
(あのファイル、どこに保存したっけ・・・ということが多々あるので重要ですね)

  • 元データのExcelファイル
  • テキスト部のファイル
  • 外部変数のファイル
  • 変換用ファイル
  • My辞書のファイル
  • 仮説のコーディングルール・ファイル

それでは

(補足)
学術研究にKH Coderを利用した場合には下記のお願いがあります。KH Coderを作成された樋口先生に感謝の気持ちを込めて、論文ができた際には協力します。英語は当分先ですかね。
以下、転載。

KH Coderを用いた研究の成果を論文などに発表される際には、KH Coderを利用したことを注にでも記載していただけますと幸いです。またご研究の書誌情報をフォームにご記入いただけると大変喜ばしく存じます。
文献リストに挙げていただける場合には、下記いずれかの文献をお使いください。

  • 樋口耕一 2014 『社会調査のための計量テキスト分析 ―内容分析の継承と発展を目指して―』 ナカニシヤ出版 サポートページ
  • 樋口耕一 2004 「テキスト型データの計量的分析 ―2つのアプローチの峻別と統合―」 『理論と方法』 (数理社会学会) 19(1): 101-115

英語でご研究を発表される場合には以下の文献をお使いください。

  • Koichi Higuchi 2016 "A Two-Step Approach to Quantitative Content Analysis: KH Coder Tutorial Using Anne of Green Gables (Part I)" Ritsumeikan Social Science Review, 52(3): 77-91
  • Koichi Higuchi 2017 "A Two-Step Approach to Quantitative Content Analysis: KH Coder Tutorial Using Anne of Green Gables (Part II)" Ritsumeikan Social Science Review, 53(1): 137-147

 

 

 

 

統計学、はじめました。

今回は、「統計学」について。

新型コロナウイルスの影響で閉鎖している大学もあり、しばらくの間研究ができなくなる可能性もあります。また、前回の記事で紹介したジムに行けず、家の中でできることを探していたのですが、今後研究に必要な勉強でも開始するかという結論に至りました。

 

私は元々工学系を専攻していたのですが、諸事情により専門分野を大転換する時期にいると感じています。そこで、色々と考えた結果、社会心理学計量経済学などの研究へシフトすることを決意しました。これから研究テーマを変えるなんて、なかなか無茶なことですが、まあしょうがないですね。

 

工学系は実験やシミュレーションがメインですので、どうしても研究費がかかるというのも理由の1つにあります。お金がなければ、研究できない。研究できなければ、成果が出ない。つまり、お金がなければ成果が出ない、という論理です。

 

社会調査に係るアンケート等も勿論お金はかかるのですが、工学系の実験に比べれば格段に安いですし、巷で評判のRやPython, KH coder等の無料の言語・ソフトウェアもありますので、今の専門分野に文系の知見を持ち込んだら面白い!とい発想となりました。

 

そこで、まずは「統計学」の勉強を始めました。
大学生の時に統計学を履修しましたが、恥ずかしながら見事に「可」でした。さっぱり覚えていないですし、あの複雑怪奇な数式に嫌悪感を抱いているので、数式をなるべく使わないわかりやすい教科書を探しました。

 

見つけたのが次の2冊です。
時間をかけずに統計学の全体をさーっと眺められることが大事だと思い選びました。数学の厳密性を求めるのであれば、専門書の方が良いと思いますが、まずは統計学のイメージを掴むことが大事だと思っています。この2冊は、全体の約半分がイメージ図やマンガでできていますので、とてもわかりやすかったです。両方とも「統計学入門のための入門書」という位置づけだと思いますので、これからさらに勉強していきたいと思います。本だけ読んでも眠くなるので、ExcelやRで手を動かしながら勉強できる本を次からは選んで行きます。

 

 
社会心理学計量経済学、RやPythonを勉強しようとすると、基礎的な数学が必須となります。統計学は勿論、線形代数微分積分も必要になるので、これから勉強していきます。特に、統計学については、「統計検定」があるそうなので、まずは2級を取得したいです。

 

それでは。